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野生の犬について (10)

森

シンギング・ドッグはディンゴよりガッチリとした骨格を持ち岩場でのハンティング能力も抜群な犬です。
そして、深い谷や広い森の中で仲間と連絡が取り合えるように発達したのです。
出発して5時間後足跡を発見しました。
本物のシンギング・ドッグかもしれません。
遠吠えを録音したテープを流し、彼らの反応を待ちます。
すると尾根の方からかすかに声が聞こえてきます。
シンギング・ドッグが一番活動的なのは、夜明け前のようです。

ニューギニアで野生のシンギングドッグが見つからなければ、合衆国で飼育されている群れが最後の生き残りとなります。
サウスカロライナ州にあるリスビン博士の犬舎では、カロライナ・ドッグだけでなく世界でも希少なシンギング・ドッグが飼育されています。
北米にシンギング・ドッグがいるのはこの犬のおかげです。
絶滅を防ぐために繁殖もします。
これこそ原始的な犬が野生を離れ家畜化される最後の段階なのかもしれません。

カロライナ・ドッグの人気は高まりつつありますが、ブリスビン博士の目的は森へ連れて行くことです。
多くのカロライナ・ドッグは森から連れてきました。
忘れてはいけません。古来から森で生き残ってきた犬なのです。
カロライナ・ドッグなど原始的な犬が祖先の血を引いていると証明される日はくるのでしょうか。
ひとまず、鑑定結果は良好でしたが、更なる研究が必要です。

犬の誕生にまつわる謎に科学のメスが入ろうとしています。
人間が犬を作ったと考えていますが、犬は独自に進化したのでしょう。

人類の始まりと同様、犬の起源も完全に解明されないかもしれません。

野生の犬から学ぶことはまだあるはずです。

最初の犬を探すことは、我々の文化をたどることです。
世界の片隅には、まだ多くの野生犬がいます。
何千年も野生を生き抜いてきた犬たちは人間の歴史にとっても欠かせない存在なのです。

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